横浜の小さな舞台から、感動を届ける「あかいくつ劇場」
横浜といえば、異国情緒漂う街並み、港の風、山下公園に中華街…と、観光地としての魅力が尽きません。そんな横浜の中心、みなとみらい線「元町・中華街駅」からほど近い場所に、知る人ぞ知る小さな劇場「あかいくつ劇場」があります。
この劇場の存在を知っている人は、横浜通か、舞台芸術が好きな方か、あるいは地元の方かもしれません。でも、まだ知らないという人にこそ、ぜひ訪れてほしい。なぜならここは、大人にも子どもにも心に残る体験をくれる、まさに“感動の小箱”なのです。
「あかいくつ劇場」ってどんなところ？
あかいくつ劇場は、「人形劇」や「影絵」「朗読劇」「クラシックコンサート」など、子どもから大人まで楽しめる上質な舞台芸術を提供する劇場です。
正式名称は「横浜人形の家・あかいくつ劇場」。その名のとおり、横浜山下公園の目の前にある「横浜人形の家」の地下に併設されているホール形式の劇場で、座席数は約250席と、親密感のあるサイズ。
この劇場の特徴は「近さ」と「温もり」です。
大規模なシアターでは味わえない、舞台と客席の一体感。そして小さな空間だからこそ伝わる、演者の表情や息づかい。小さな子どもでも飽きずに集中できる、ちょうど良い規模感が魅力です。
童話の世界が飛び出すような体験
筆者が初めて訪れたのは、ある日曜日の午後。上演されていたのは、影絵の第一人者・藤城清治さんの影絵劇でした。
スクリーンに投影される繊細な影絵、ナレーションの響き、音楽の生演奏…。照明が落ちた瞬間、そこはまるで童話の世界。観客はみな静かに息を飲みながら、物語の中へ引き込まれていきました。
あかいくつ劇場では、こうした伝統的な影絵や人形劇を、現代的な演出と組み合わせて届けてくれます。子どもにとっては「初めての舞台体験」として最適であり、大人にとっては「懐かしさ」と「新しさ」が同居する、独特の感動を与えてくれます。
作品選びのセンスが光る
演目のセレクションも秀逸です。日本昔ばなし、西洋童話、そして現代作家のオリジナル作品まで幅広く、どの作品も子ども向けでありながら“大人が観ても心を打たれる”内容となっている点がポイント。
また、季節や行事にちなんだ作品も多く、春には「桜」、夏には「七夕」や「海の生きもの」、冬には「クリスマス」や「お正月」に関連した物語が上演されるなど、四季折々の情緒が感じられるのも嬉しいですね。
親子での休日にぴったりな立地
山下公園や中華街からすぐの立地ということもあり、観劇の前後には食事や観光も楽しめます。
午前中に観劇、その後は公園でお弁当を広げたり、氷川丸やマリンタワーを見学したり、午後からは中華街でランチ…そんな一日が過ごせるのも、あかいくつ劇場の大きな魅力。
特に、赤い靴を履いた女の子の像が立つ「赤い靴はいてた女の子像」からほど近く、まさに「赤い靴」の物語の世界に入り込んだかのような感覚にもなれます。
チケット価格も良心的
演目や団体によって異なりますが、あかいくつ劇場のチケットは子ども向けであることを意識してか、比較的リーズナブル。
親子連れでも気軽に足を運べる価格帯で、前売りであればさらにお得になることも。定期的に「無料招待デー」や「市民優待公演」なども実施されており、地元とのつながりも大切にしている印象です。
舞台芸術への第一歩として
デジタル全盛の現代において、実際に目の前で演じられる舞台芸術に触れる機会は、子どもたちにとって非常に貴重です。
感情を動かす演技、生の音、物語の力。それらに触れることで、想像力や感受性が育まれるだけでなく、家族の思い出として心に残る“時間の贈り物”となります。
あかいくつ劇場は、そんな“はじめての感動体験”を大切に提供し続けている、横浜の小さな宝箱のような場所。
舞台初心者の方にも、自信をもっておすすめできる劇場です。
最後に：あかいくつ劇場で、心が動くひとときを
日常の喧騒から少し離れて、心を静かに物語へとゆだねてみませんか？
あかいくつ劇場では、子どもも大人も、一緒に物語を旅することができます。
親子での週末のレジャーに、友人とのちょっとしたお出かけに、あるいはひとりで静かに物語を楽しむ時間にも。
横浜に訪れる際は、ぜひ一度、あかいくつ劇場の扉を開いてみてください。そこには、思いがけない感動が待っています。
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